ファーム・サンクチュアリー
プレジデント&コファウンダー ジーン・バウアー氏 ロングインタビュー Part 1 1 湖と森に囲まれたファーム・サンクチュアリーへ ニューヨーク市から北西へ5時間ほど車で走ると、フィンガーレイク・リジョンと呼ばれる地域がある。地図で見ると上から手をかざしながら、巨大なジャンケンのパーを出されている感じだ。その指のひとつひとつが美しい湖で、その中の一番大きな指の先には、コーネル大学の街、イサカがある。そして2番目に大きいセネカ湖の先端に、ワトキンス・グレンという町があり、その小さな町中を出た広大な土地に、これからご紹介する「ファーム・サンクチュアリー」が広がっている。 この地域はニューヨーク州のワインの名産地でもあり、のどかなワイナリーが湖に沿って点在する。湖と森の景色を楽しみながら、ワイナリーでの試飲をお目当てに観光客が沢山訪れる人気の町だ。私がこの地方に行ってみたのも、全く同じ理由で、数日取れた休暇を使ってどこか近くて遠くそうなところに行ってみたかったからだった。そしてこの場所を選んだ勘はあたったようで、遠いと言おうか、思いも寄らない場所に行くことになったのだった。 観光に出かけても、あまり畜産動物を取り立てて見に行きたいと思わないのだが、このときはどういう訳か、ファームに泊まりたいと思った。宿泊施設があるくらいだから、ハッピーな牛とかがいるに違いない。そうして検索して出て来たのが、「ファーム・サンクチュアリー」。ぺんぺん草が揺れる野原でのんびり風を楽しんでいる牛の表情、どろんこになって遊ぶ子豚達、犬のようにしっぽを振って駆け回る羊。「これこれ、ここに行きたい!」そう思って、わくわくしながら出発した。 ところがどっこい、行ってみると、ファーム・サンクチュアリーは単なるハッピーな動物達を育てている観光施設などではなかった。ここは、北アメリカにおける畜産動物の権利と保護をリードするオーガニゼーションの本拠本元であったのだ。 「ファーム・サンクチュアリー」はこのフィンガーレイク地方に175エーカーのサンクチュアリー、そしてカリフォルニア州オーランドには300エーカーのサンクチュアリーを持つ。そこでは800頭ほどのレスキューされた動物がのんびりと暮らし、毎年数千の人々がファーム・サンクチュアリーを訪れ工場式農場による畜産動物たちの悲惨極まりない状況を学んでいる。ファーム・サンクチュアリーによってレスキューされた動物達は最高の医療とケアを受け、リハビリを行い、友達を作って遊び、そして畜産動物界からの平和大使として、毎年数千人訪れる人々に無言で語りかける。フレンドリーなまなざしで。 ディナちゃん ソックスくん タイラーさん ☆☆
ヒルダのようなレスキューされた畜産動物たちを裏庭で世話をしていると、子供達が興味深げにフェンスの隙間から見に来るようになった。こうして子供達を含めたサポーターが徐々に増えていき、北アメリカ最大のファーム・サンクチュアリーと成長していった。このいきさつはすべてジーン・バウアー氏の本「Farm Sanctuary: Changing Hearts and Minds About Animals and Food」(出版:Simon & Schuster, Inc.)に詳しく書かれているので、和訳が出版された暁には是非読んでいただきたいと思う。☆☆夫妻にレスキューされたばかりのヒルダ☆☆☆☆☆☆☆☆ジーン・バウアー氏とルイーズ&テルマ☆☆☆☆☆☆ 毎年アメリカでは100億の畜産動物たちが人間の食物として屠殺される。想像を絶する数だが、一頭一匹、それぞれに性格があり、細やかな感情がある。そんな動物たちがどんな状況にあるのか、この本は理解する手助けをしてくれる。そして動物保護に関する法律制定がどのように勝ち取られて行き、命を扱う産業が利益だけですべてを判断するときに、どれほど動物の命やわたしたち社会の倫理が蔑まれるのかがわかる。レスキューされたそれぞれの動物たちの物語と、バウアー氏の思いやりにあふれた語り口に心が温まる、そんな大切な一冊だ。 畜産動物の保護資金をつくるため、グレートフルデッドのコンサートに同行し、
ヴィーガンホットドックを売った。1986年のこと。 こうしてファーム・サンクチュアリーは必然が必然を呼び、20年のうちに、沢山の法律改正にこぎつけた。一年を通して、緊急の電話に応え、レスキューを休みなく続け、動物についての理解を深められるようなイベントが行われる。アメリカのサンクスギビングというホリデーにはみんながこぞって七面鳥を料理する。一家に一羽の割合だ。一方、ファーム・サンクチュアリーでは大きなパーティーが開かれ、沢山のサポーターや、子供達が参加して、七面鳥に御馳走をする。 感謝の日に七面鳥を食べるのではなく、食べてもらうのである。子供達と七面鳥たちの微笑ましい姿をこちらでどうぞお楽しみください。 「七面鳥のための感謝祭」 ファーム・サンクチュアリーにて 2 ジーン・バウアー氏にインタビュー
フィンガーレイク地方にある「ファーム・サンクチュアリー」を観光地としてたまたま訪れたとき、心の底からびっくりした。見渡すかぎり美しく、施設は清潔でユーモアに溢れ、多くのレスキューされた動物たちは信頼の中で生きていた。このようなポジティブな全てを使ってしっかりと動物たちの実状について教育する。これこそが本当のアメリカンドリームだと思ったものだ。どんな人がこのサンクチュアリーを始めて、運営しているのだろうか?びっくりしながらも真剣に想像した。 豚も全く身動きの出来ないクレートに入れられ、食肉となる子豚たちを産み続ける。卵を産むニワトリたちは産まれてから間もなくクチバシの先を麻酔なしに切除され、封筒一枚のスペースで卵を産み続けさせられる。外の景色を見る事も、草の上を歩く事も、羽を広げることもない。屠殺の日に始めて見る外光。密閉された飼育場所は訪れた人の目を焼くほど汚染されているという。 ジーン・バウアー氏は畜産動物の調査を始めた頃、立ち上がれない牛たちやその屠殺を見て、どうしてこんなことが起こりうるのか愕然として絶望を感じたという。金網の中でぎゅうぎゅうづめにされて短い一生を送るニワトリが、その下にある排泄物の溜め池に落っこちてしまっているのを何度も発見して、そのたびにその中に入っていきレスキューもした。そんな彼の経験をまとめた一冊が話題になり、2008年の3月に出版以来アメリカ各地で本のサイン会、講演会が行われている。 今回はそのバウアー氏がマンハッタンの書店で講演会をすることになり、市内にいらっしゃる時間を割いて下さって、沢山の質問に答えて頂いた。当初15分のインタビューを引き受けて下さったのが、一時間以上にも及んだ。長いインタビューではあるが、畜産動物と共に生きて来た彼の一言一言をここにご紹介したいと思う。 (畜産動物の現状フォトはファーム・サンクチュアリーのホームページからご覧になれます。残酷な映像が含まれておりますのでご注意ください。) CFT: ファーム・サンクチュアリーを訪れましたときに、畜産動物と呼ばれる動物たちの美しさに感動しました。目と目が合ってまたまた感動。瞳が優しさと好奇心で輝いていましたし。。。 GB(バウアー氏): 美しさや幸福にフォーカスすることはとても大切なことですね。人々は美しさや幸福の一部になりたいと願いますし、そこにつながりを求めます。私はそれは道理にかなうことだと思っています。 私たちがファーム・サンクチュアリーを始めてから、工場式畜産農場へ行き、生きたまま捨てられている動物たちをゴミ箱や屍骸の山の中に見つけ、何千何万という動物たちが密閉され虐待されているのを見てきました。でもそれはご想像通り、非常につらいことです。そしてそれは人々に知らせなければいけない事ですし、事実そうして来ました。でも、その一方で、とてもポジティブで具体的なことによって一休みすることには助けられます。ホラーを生きて脱出し平和な場所で暮すのは動物にとっても良い事だけれど、その動物たちを見ることは、人間にとっても、とてもインスピレーショナルな素晴らしいことなのです。残酷なことを繰り返し見続けるのは不健康なことにもなり得ます。ですから、美しさやポジティブなことにフォーカスすることは大切なことです。動物でも何でも大切なことを守りたいのであれば、そのことについて理解しなければならないですし、ケアしなければなりませんから。 そして、今の時点でほとんどの人はあまり畜産動物について考えません。何を食べるかという全ての選択が、どれほど動物や地球や自分自身の健康に大きく影響を与えているか考えません。ですので、私たちは人々にもっと動物や地球や自身の健康について考えてもらい、自分の価値観や関心のあることに一致した方法で食べてもらいたいと思っているのです。というのも、現在、アメリカや先進工業国において、人々が持つ根本的な価値観とは合わない、越えてはならない一線を越えてしまった方法で動物達は扱われ、また虐待されています。そういった動物たちから作られた肉、ミルク、卵を人々は購入しているのです。ということは、自分の価値観とは全く食い違った方法で製産されたものを食べていることになります。 それだけでなく自分を傷つけるものを食べているのです!アメリカにおける死因の第一位は心臓病、第2位はガンです。そしてベジタリアンやヴィーガンになることで著しくこの病気になるリスクが下がります。ということは、根本的な価値観と一貫していないだけでなく、自分が興味を持つ事とも一貫しない食べ方をしている訳です。 また沢山の動物製品を食べることによって、地球をも破壊しているのです(*注:動物性の食物を製産するのには、植物性に比べ、16倍の化石燃料が必要と言われています。また大量に水を使い地下水の枯渇の原因ともなっており、家畜の排泄物からは多量の有亜酸化窒素が放出されます。二酸化炭素に関しては、畜産工業は輸送手段より多くの温室効果ガスを放出しており排出量は世界全体で18%を占めます: 国連食糧農業機関 / FAO の報告より )。ということは、この意味でも明らかに自分の興味とも食い違います。 ですので、自分の根本的な価値観あるいは興味に一貫した方法で自分の食べる物を注意深く選ぶことは重要なことと私たちは考えています。そしてこれを人々が始めることによって、私たちは大きな変化を見ることが出来ると思っています。 CFT: 本当にこういった動物の状況が正しくないということは、博士号がなくても、わかることですね。バウアーさんが本の中でおっしゃっていたように、動物たちには「生きること、その事自体がシンプルに嬉しい」ということがありました。そしてそこが人間が忘れてしまいがちなことだと。 GB: 僕たちはときどきなんでも複雑にしちゃいますよね(笑)。 人間の普遍的な価値基準は思いやりです。他者に共感するのに本を読む必要もないですし、そこが大きなポイントなのです。基本的な共感、基本的な理解、他者を思いやることが出来る。。。そういう直感的なことなのですが、私たちはときどきそういった深い同情心を、家族内、自分の国民のみ、あるいは自分の町など、に制限してしまいがちです。でも、私たちはもっと広く同情心を持つべきですし、それがどのように世界中の人々や動物たちに影響を及ぼすかを理解する必要があります。 そして私たちの食べ物の選択は、実際に工場式畜産農場で苦しむ動物たちの命に大きなインパクトを与えています。そうである必要は全然ないにもかかわらずです。 もうひとつ大切なことは、私たちが健康で思いやりのある生活をするために選択していくことは、それほど大変難しい変化を伴う必要がないということです。人々は変化を恐れますし、例えば、ヴィーガンになるのは不可能と考えるかもしれません。ところが実際は、どんどんヴィーガンの生活が楽になってきています。ですので、変化を起こすことに対する大きな障害のひとつは、人々が出来ると信じないことです。そしてこの無力化に、私たちの根本的な価値と一致しない産業は依存しているのです。ある企業は企業の短期的な価値観を私たちに信じてもらいたいでしょう。私たちに変化は難しく、健康でヴィーガンになることも難しく、動物は私たちが食べる為に存在すると信じてもらいたいでしょう。でもこれらはすべて作られた話です。これらはチャレンジされなければなりません。 CFT: それに人々はヴィーガンになるためには犠牲が伴うと思っています。 GB: 今では本当に沢山のヴィーガン・フードがありますね。ですので、ヴィーガンになるために、犠牲を払わないといけないとか、何かをあきらめなければならないとか、こういった考えもチャレンジされる必要がありますね。 事実、これは本当のことではありません。わたしたちはヴィーガンになることによって何かをあきらめることはないですよ。実際は、全く違った食べ方、他者との関係の仕方、より健康的なライフスタイルを享受しています。このようなことを、ほとんどの人は楽しむことが出来るし、気持ちよく生活出来る方法だと私は思います。 ということで、社会全体はそういった方向に向かっていますが、スピードは遅いですね。まだまだ工場式畜産農場はありますし、法制定に影響を及ぼしています。これは問題が大きく、私たちはまだ沢山の仕事があります。そしてこれは個人がどういった選択をしていくかにかかっています。 ところで、日本でも沢山の畜産動物が飼われていますか? CFT: はい、そう思います。でも、見えるところに畜産動物はそれほどいませんので、どういった状況で育てられているのか見えない状態です。それにそういった話もあまり出ません。テレビでも見なければ、新聞でそういった写真も見かけません。輸入も大きいと思います。 GB: 工場式畜産農場について話す事は奨励されていないのですね。 CFT: 社会的な慣習もあるかもしれません。 GB: ある意味では、私たちの国も同じです。アメリカではスピーク・アウトしてきた歴史があり、少なくとも、名目上は言論の自由が認められていますが、実際は言論の自由は奨励されていません。異なる価値を持つ事、同調しないことも奨励されていません。ある場合は罰せられることさえあります。もしかしたら日本よりもアメリカのほうが一見そうでないように見えるかもしれません。行ったことがないのでよくわかりませんが。 現状にチャレンジすることや、ある伝統やまたそういった慣習を許して来た仮説に問いかけることは、そこへ執着する行動が関係してきます。たとえば 私たちの国では、奴隷制度のような例があります。これは伝統的なこととして長く守られてきました。またはある種の人々はある種の目的のために存在するのだと言われてきました。これと全く同じ理論が、動物たちに向けての暴力と虐待を続けさせています。そういう目的のために、動物たちが存在し、これを何千年も続けて来たのだから、これが伝統で、こうするべきなのだと。 でも、何千年も続けて来たからといって、べつに続けなければいけない理由もないですし、時間が経って私たちが学ぶうちに、もっと慈悲があり人道的に進化していくことを願います。 考えてみれば、人間の歴史では本当に沢山のひどいことをしてきました。歴史がそうだからと言って、私たちはそれを続けなければならないという理由にはなりません。過去から学んで一貫して改善を続けられるように行動する必要があると思います。少なくとも、自分たちの行為を改善するように切望すべきです。 そしてこの点で、動物に関しては現在の工場式畜産農場が普及しており、悪いことが普通になってしまいましたが、これは私たちが変えようとチャレンジしているシステムです。 CFT: ファーム・サンクチュアリーは映画になったことがありますか? GB: 「Peaceable Kingdom (穏やかな国)」という映画があり、これはファーム・サンクチュアリーで撮影されました。ファーム・サンクチュアリーについての映画ではありませんが、畜産動物と工場式農場に関するドキュメンタリーです。 私たちはいつも畜産動物のことを知ってもらいたいと思っています。皆さんにファーム・サンクチュアリーに来てもらい、動物たちと会い、その動物がどういう経緯でどこから来たのか知ってもらいたいと思っています。 ファーム・サンクチュアリーには今「ニキ」という豚がいます。ニキはアイオワの工場式畜産農場にいました。あるときハリケーンの影響で洪水になり、これらの多くの工場は水没してしまいました。動物たちは密閉されたケージに入れられていますので、クレートの中で溺れてしまいました。あるケースではクレートから脱出した動物達もいて、ニキはそのうちのひとりでした。彼女は出産するための豚でしたから、身動きの出来ない出産クレートに入っていたはずです。そしてこの洪水のときに始めて、彼女はクレートの外に出たのです。こうした工場式のファーマーたちは豚は子供達の育て方を知らない、豚は良い母親ではないと主張し、クレートに閉じ込め、行動をコントロールし、赤ちゃんを取り上げなければならないと言います。 洪水が襲いクレートから脱出したとき、ニキは妊娠していました。そのため、ニキは土手で出産し、赤ちゃんたちをとても上手に育てました。私たちは彼女と赤ちゃん達をそこで保護することが出来、全員ファーム・サンクチュアリーにやってきました。今はみんなそこで一緒に暮らしています。 養豚業者はよく、母親の豚は攻撃的で、意地の悪い動物と言います。私の本の中でも書きましたが、彼はその豚がどうして攻撃的になったか理解していなかったのです。彼は出産直後にその母豚から赤ちゃんを取り上げようとしたのです。そして母豚は攻撃的になりました。こういったことでさえ工場式畜産農場では理解されていません。 でも、ニキは今、ファーム・サンクチュアリーのスタッフを信用して、鼻を触らせてくれます。今、安全な場所にいることを知っているのです。そんな写真があるんですよ。ニキは知っているんです。わたしたちは彼女の赤ちゃんを奪って、殺す事などしないということを。 動物達は友達です。食べ物ではありません。 ファーム・サンクチュアリーという場所は、動物たちに変化をもらたらす場所です。 動物達ははじめ工場で製品として扱われました。産まれたその日から食肉として殺されるために。子供を産む機械として。ミルクをつくる機械として。卵をつくる機械として。 感情を持った生き物としてではなく。名前ではなく、番号をつけられ。 ファーム・サンクチュアリーに来た動物たちは、まず名前がつけられ、友達として扱われます。動物にとっては変容の場所ですが、多くの場合、人間の変容の場所でもあります。ファーム・サンクチュアリーを訪れた人々が、今まで豚の目を見た事がなかったけれど、その目を見て、動物たちには感情があり、性格や個性があることを理解するのです。そういう意味で、ファーム・サンクチュアリーは変容の場所なのです。 〜ここでニキと子供達のレスキューストーリーをご紹介します〜 2008 Midwest Flood Disaster Pig Rescue *以下はカナダ・トロントのFMラジオ局「Animal Voices」 による、トリシア・バリーさん(ファーム・サンクチュアリー広報ディレクター)のインタビューをもとに記載しました。南西部出身、ご実家も養豚をしていたというヴィーガンのトリシアさんはレスキュー当時、現地で州当局との交渉にあたり、希望が湧いて来る体験をされたそうです。 昨年の6月に養豚では最大の州、アイオアを含む中西部が、ミシシッピ川の決壊により大洪水に見舞われました。アイオア州の南東にあるオークビルというわずか450人という人口の村は見渡す限り、工場式畜産による養豚場とトウモロコシ畑です。堤防と土手以外は、すべて水没していました。 堤防近くまで水が上がって来ると、豚たちはすぐに屠殺場へ送られました。間に合わなかった数千にのぼる豚たちは密閉された工場式畜産農場で、なすすべもなく溺れていました。クレートを開けてももらえなかったのです。でも一部の農場主はクレートを開けました。運良くクレートから逃れた豚達は土手に向かって泳いで行きました。土手が高く水没していないところまでは何キロも泳ぐ必要がありました。現地のテレビクルーがその様子を撮影していたところ、豚が土手に泳ぎつくと州当局により射殺されました。積み上げた砂袋を豚が壊すから、という理由でした。これが瞬く間にテレビでニュースとして報道され、視聴者は批判をするとともに、固唾をのんで見守りました。 コンパニオン・アニマルのレスキューについては厖大なネットワークがあり、すぐにレスキューが開始されました。しかし畜産動物の保護についてはファーム・サンクチュアリーの他にIFAW(国際動物保護基金)を含め4団体が現地入りの許可を得ているだけでした。あわせて24〜5名での畜産動物のレスキューです。しかし、全員レスキューの経験が豊富なスタッフで、IFAWの職員は中国でのレスキューから帰って来たばかりでした。団体同士が力をあわせて豚の救出にあたりました。工場式畜産農場からの糞尿の溜め池も決壊したため、水は毒も加わり、風も吹き始めたために、小さな底の浅いボートでは救出は不可能でした。許可を得、土手沿いから豚達をトラクターで運び始めるまでに4日かかりました。32度を越す気温と高い湿度の中での3週間のキャンプになりました。 ファーム・サンクチュアリーは、ミシシッピ川決壊のニュースを聞くと、すぐに救出のチームをつくりました。コンパニオン・アニマルのレスキューとの違いは畜産動物をレスキューしても法律では農場主の所有物と見なされますので、農場主がその動物を放棄することに同意しなければ、返さなければならないのです。返せばその動物は屠殺の日まで密閉されるでしょう。畜産動物のレスキューは、まずその洪水が起きている地域にレスキューチームが入る許可を得ること、レスキューした動物をファーム・サンクチュアリーへ放棄する許可を得ることから始まりました。水没した町で豚を放置することは病気の感染源にもなるとし、問題なく所有権を得ることが出来ました。現場でのレスキュー、現地で当局との話し合いをする広報担当者、ニューヨーク州ワトキンスグレンにあるヘッドオフィスでの受け入れ準備、と3グループのチームが出来上がりました。ハリケーン・カトリーナ後の鶏の救出の経験がありましたが、IFAWの経験豊富な職員でさえ、最も過酷なレスキューだったそうです。ファーム・サンクチュアリーのスタッフにとっても毎日新たな問題を解決しなければなりませんでした。 忍耐につきるレスキューにより数頭の妊娠している母豚を含め69頭の豚が救助されました。豚達は影のない土手に長いこといたため、日焼けによる酷いやけどを負っていました。ほとんどの雄豚はヘルニアがあり、また汚染された水を多量に飲んだため全員が重篤な肺炎を起こしていました。また足は金属の上にずっといたため、化膿しています。 しかし、土手では出産した数頭の母豚たちは大切に子供たちを世話していました。そういった悲惨な状況でも子供達ににとっては生まれてから自由なために、土手を元気よく走り回っていました。捕まえるのが大変だったそうです。 ファーム・サンクチュアリーに到着した豚たちには即座に集中治療が始められました。当地のコーネル大学からの医療費用も高額にのぼり、全米から寄付を募りました。その日からスタッフは16〜7時間のケアを毎日続けることになりました。 (ファーム・サンクチュアリー緊急レスキュー基金へのご寄付をお考え下さる方はこちらからどうぞ。) 〜
CFT: そうですね、ファーム・サンクチュアリーを訪れたとき、動物たちの個性が自然に表れていました。そばで見ていてとても嬉しかったです。 ところで、ファーム・サンクチュアリーが今まで活動して来た中での成果をいくつかお話頂けますか? GB: ファーム・サンクチュアリーは北米最初のファーム・サンクチュアリーです。また、国内の多様な動物保護団体へ向けて畜産動物の問題を提起する重要な役割を担ってきました。 アメリカで始めて、種々の非人道的な動物の扱いを禁止する法律を制定してきました。2002年にフロリダで、こういった密閉システムを禁止する初の法律を制定しました。出産する豚のケージです。 またその後、重要な法律をアリゾナで制定しました。アメリカで始めて、子牛のケージ、及び、出産する豚のケージを禁止するものです。 最も新しいものでは、カリフォルニアのプロポジション2という住民投票で、食用の子牛、出産する豚、産卵するニワトリが動けるようにする法律制定のイニシアティブを取り、可決されました。産卵するニワトリが動けるようにする法律の制定はアメリカ初です。(*注:オバマ氏が当選した日にこの法律もカリフォルニア州住民の圧倒的な支持の票を集めて可決した。) また他にもいくつかの州法律制定に関してイニシアティブを取りました。例えば、カリフォルニアにて、弱って立ち上がれなくなった動物を屠殺して市場に出すのを禁止する法律。連邦政府政策についても同じように働きかけ、成立されています。その連邦政府政策の結果として、史上最大の牛肉回収がありました。これはわたしたちがこの法律に違反する、立ち上がれない牛の屠殺状況を公表した結果です。これらは法制定で達成したうちのいくつかです。 また働きかけた結果により、数多くのレストランが子牛やフォアグラをメニューからはずし、よりヴィーガン・フードのメニューを加えました。現在まで何百万という人々にこういった事実を伝え、多くのみなさんのおかげで、変化が始まっています。 CFT: 素晴らしいご活動ですね。ところで、レスキューされてファーム・サンクチュアリーに到着した動物たちは、多大なトラウマを負っていると思いますが、そのような動物たちの信用を回復するために、どのようなことをされていますか? GB: 動物たちがファーム・サンクチュアリーに到着すると、わたしたちは動物たちに尊敬の念を持って接します。動物達が経験してきたこと、その感情に敬意を払います。それは、動物達にスペースと時間を与えることでもあります。そして多くの場合、ファーム・サンクチュアリーにいる他の動物達が、ヒーリングの役割を担っているのです。たとえば、子牛が運ばれて来たとします。その子牛は、他の大人の牛が元気に暮らし、またフレンドリーなのを見てほっとします。そのおかげで人にも心を開くのです。なので、わたしたちは、動物達にスペースをあげて、親切に接するだけです。そして実際にヒーリングの仕事をしてくれるのは、他の動物たちなのです。 バウアーさんとオピー (文章内の*はCFTの注釈です)
Special thanks to Mr. Gene Baur, Ms. Natalie Bowman, and Ms. Erin Howard, of Farm Sanctuary for their generous cooperation. 写真提供 (with logo): ファーム・サンクチュアリー
インタビュー: 水口政美/渡邊こずえ (CFT)
文/訳文/写真(without logo):水口政美 (CFT) CFTでは、ファーム・サンクチュアリーでのドキュメンタリー映画をバウアー氏の協力を得て、企画しております。「あしたへの選択」を応援して下さっている読者の皆さま、ぜひ、この映画も応援してください。仮タイトルは当サイトのセクション名のひとつ「So Happy!」です。
Homeファーム・サンクチュアリー ホームページ http://www.farmsanctuary.com レスキューストーリー http://www.farmsanctuary.org/rescue/rescues/ ビジターインフォメーション *ニューヨークシェルター/ワトキンス・グレン ビジターツアーは、5月1日から10月31日までオープン。 5月9月10月は土曜日と日曜日。 6月7月8月は水曜日から日曜日。 午前11時に始まり1時間ごとに行われ午後3時が最後のツアー。 10人以上のグループツアーの受付可能。あらかじめ予約が必要。 また、休日、詳細についてはお問い合わせください。 電話番号 1-607-583-2225 行き方はこちら。 サンクチュアリー内にはB&Bもあります。 ウエディングまたはイベントも可能です。 イベントカレンダーはこちら。 *カリフォルニアシェルター / オーランド ビジターツアーについての詳細はあらかじめこちらにお電話ください。 1-530-865-4617 行き方はこちら。 カントリーキャビンが施設内にあります。 ウエディングまたはイベントも可能です。 イベントカレンダーはこちら。 参考ビデオ: (*残酷な映像が入っているビデオがあります。ご注意ください。) 「バウアー氏による著書の紹介」 Farm Sanctuary: Changing Hearts & Minds About Animals & Food 「命をかけて大脱走」 Daring Dash Around Queens Lands Renegade Cow at New York Shelter 「プロップ2」 Vote YES on California Prop 2 - Gene Baur 「セレブリティーが語る畜産動物」 Celebrities speak up for the animals! 「テレビ番組ラリー・キングのトークショーにてバウアーさんがゲスト出演 パート1」 Gene Baur on Larry King Live, 1991 - part 1 「テレビ番組ラリー・キングのトークショーにてバウアーさんがゲスト出演 パート2」 Gene Baur on Larry King Live, 1991 - part 2 「ランカスター・ストックヤード(家畜置き場)の過去と現在」 Lancaster Stockyards: Then and Now 「メアリー・タイラー・ムーアが語る檻の中に入れられた命」 Life Behind Bars by Mary Tyler Moor 「ファーム・サンクチュアリーのバーチャル体験ー二つの全く違った世界」 Investigate & Explore two very different world through Farm Sanctuary's Virtual Experience 「ご自分の目でご確認ください。カリフォルニア最大の養鶏場」 See for Yourself - one of the largest egg laying operations in California 「フォアグラ工場」 The Foie Gras Assembly Line ... CFTのCourageにてどうぞご署名をお願い致します。 Mr. Gene Baur President and Co-Founder Farm Sanctuary Part 1 To a sanctuary surrounded by lakes and woods Within an approximately five-hour drive northwest of New York City one can reach an area referred to as the “Finger Lakes Region”. Look at this region on a map and it appears as though a hand with widespread fingers is hovering over the area where the lakes are present. In reality, each one of those fingers is a beautiful lake. At the tip of the largest of lake is the town of Ithaca, home to Cornell University. Situated on the edge of the second largest, Lake Seneca, is the small town of Watkins Glen. Venture a little past the center of this town and out rolls a wide spread of earth called “Farm Sanctuary”. Since the Seneca Valley is one of New York State’s famous wine regions many tranquil wineries can be seen dotting the edge of this lake. Watkins Glen is a popular destination for wine enthusiasts who come for tasting retreats while enjoying the surrounding landscape of lakes and woods. My initial reason for coming to this area was for this exact purpose. Only having a few vacation days off from work I wanted to go to a place that felt far removed from my every day surroundings, but which was relatively close to the city. My hunch to select this town proved to be a good one, as I ended up going not only some place far, but to a place quite unexpected. Usually I do not plan my vacations to involve seeing farm animals. This time, however, I decided that it might be fun to stay overnight on a farm. I was certain that if the farm had an inn for visitors then I would find happy animals there. The results of my search led me to find Farm Sanctuary. Their website displayed photos of cows enjoying a pleasant breeze on swaying fields of grass, piglets playing in mud and lambs trotting around just like puppy dogs with tails wagging high in the air. Immediately I thought, “Yes, this is it! I want to go here!” and I departed for my trip excitedly. Upon arriving I realized that this was not just an ordinary farm with happy animals for tourists to enjoy spending time with. More than just this, Farm Sanctuary is the home of North America’s leading advocacy organization for farm animal rights and protection. Farm Sanctuary encompasses 175 acres of land in the Finger Lakes region as well as 300 acres in the foothills of Orland, California. On these two stretches of land about eight hundred rescued animals live a carefree life and each year a large number of visitors come to Farm Sanctuary to learn about the cruel reality that industrial farm animals are forced to endure. Rescued animals at Farm Sanctuary receive not only the best medical care, rehabilitation and make new playmates at the farm, but also are able to speak to the thousands of visitors wordlessly through their bright eyes as peace ambassadors from the farm animals’ world. Dinah Socks Tyler Though it is now the largest farm animal rescue organization in North America, Farm Sanctuary’s humble beginning consisted of nothing more than a Volkswagen and a single living room. During the blistering hot summer of 1986, husband and wife Gene Baur and Lorri Bauston made a visit to a stockyard to investigate the conditions of the animals housed there. In the back yard they stumbled upon a pile of decaying cow, pig and sheep corpses. This was not an unusual scene to behold, however when they approached closer one sheep with maggots crawling all over it lifted its head and gazed straight at them. To Gene and Lori sheep are creatures of feeling just the same as cats and dogs and they could not simply leave the sheep to die in that pile of animals. The couple gently carried the sheep, later named Hilda, to their Volkswagen and then drove her to a veterinarian’s office. Within 20 minutes of finishing her examination Hilda was able to stand up in the car. She was only 6 months old at the time. ☆
6 month old Hilda☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆Gene with Louise and Thelma
As Gene and Lori started to take care of more rescued animals like Hilda they noticed that they were drawing the curiosity of several neighborhood children who came over to watch these animals through the slots in their backyard fence. The steady attraction of many supporters, including children, allowed Farm Sanctuary to grow to become the largest of its kind in North America. The whole story is told in Gene Baur’s latest book, “Farm Sanctuary: Changing Hearts and Minds About Animals and Food” (Simon & Schuster, Inc). Each year in the U.S. 10 billion animals are slaughtered for human food consumption. It is an unimaginable number, especially considering that each animal has an individual personality and affectionate feelings. Mr. Baur’s book helps us to both realize and understand the reality of these animals’ situations. The book also explains how legislations that protect animals were first proposed and enacted, and how an industry which uses lives for the sole purpose of making a profit demeans not only the animals themselves but also the rules and ethics which govern our society as a whole. The importance and impact of this book becomes even more evident as our hearts are warmed by Mr. Bauer's compassionate retelling of each rescued animal's story. In order to raise funds for the Farm Sanctuary, Gene and Lori sold vegan hotdogs at one of the Grateful Dead’s tours in 1986. As Farm Sanctuary grew larger they managed to petition for many animal rights laws to be passed and revised over a period of 20 years. Throughout the course of the year they handle emergency calls, tirelessly perform continuous rescues, and host various events aimed at deepening the public’s understanding of farm animals. An example of one such event is their version of Thanksgiving. American families traditionally cook a big turkey dinner at home on Thanksgiving. However, on this day of thanks Farm Sanctuary holds a big event in honor of the turkey. The party is attended by supporters young and old alike who are there to celebrate the day by watching turkeys enjoy a feast instead of being eaten. The following is a video taken at one of these events. We hope you will enjoy watching the children and turkeys happily together! Farm Sanctuary's Celebration FOR the Turkeys
Interviewing Mr. Gene Baur When I had the fortunate experience to visit Farm Sanctuary I was profoundly surprised at what I witnessed there. Surrounded by beauty as far as the eyes can see, the farm provides clean and joyful facilities to many rescued animals living out their lives in complete trust of their secure environment. Farm Sanctuary uses this positive imagery to educate us about the welfare of animals. I found myself thinking that the American dream was truly being carried out in this place, and in awe of what I saw there I tried to visualize the type of people who first created and now operate this sanctuary. I believe there are still many people who are not fully aware of the unimaginable cruelty, which is practiced each day at farm factories. In order to produce as much milk as possible, not only are dairy cattle constantly impregnated, but also their udders are genetically manipulated to grow so large that they are incapable of walking. Since dairy cattle are not genetically engineered to grow large enough for beef slaughter all male calves are taken from the mothers only a few hours after birth, chained by the neck, and confined to a crate in which no part of their bodies can move except for their head. After six months of torturous solitary confinement these calves are finally killed. Until their death they are injected with so many drugs that they become severely anemic and suffer from constant diarrhea. Most mothers will cry for days after her calf is torn away from her, and yet the cruelty does not end with her sorrow. Calves and cows intended for slaughter are first loaded into a truck and taken on a long journey without food or water to the auction ring. After being sold at auction they are forced once again into a truck and, this time, are hauled to their final destination – the slaughterhouse. When humans consume dairy products produced by this industry they are supporting the suffering and deaths of countless cows sent to cruelly die in this system. Cows are not the only victims of farm factory cruelty. Pigs are also subjected to being stuffed into impossibly small crates and forcefully fertilized to give birth to piglets destined for human consumption. As soon as hens are born they endure the unimaginable pain of having their beaks mutilated without any numbing of the area beforehand. They are also forced to lay eggs within the confines of a space that is only the size of a letter envelope – held hostage in a manner that does not afford them even a single glimpse of the outside world, let alone give them the freedom to spread their wings or walk on the grass. The first time that chickens see sunlight is on the day that they are taken out to be killed. According to those who visited factory farms, their eyes were burning from the toxic air. When Gene Baur first began investigating the living conditions of farm animals and witnessed in horror cows unable to stand on their feet being led towards their slaughtered end and felt extreme despair wondering how this treatment towards animals could possibly be allowed to occur. Likewise, he could hardly stand-by when a miserable chicken, packed tightly into her mesh wire prison, slipped off her shelf into the pit of fecal matter below her cage. This happened over and over and each time Mr. Baur charged into the pit in order to rescue the helpless bird. Experiences such as these eventually became material for his book, and soon his book’s subject matter became a hot topic of discussion. Shortly after the book was published in March of 2008 Mr. Baur embarked on book release and lecture tour across the U.S. When we found out that Mr. Baur was scheduled to give a lecture at one of the bookstores in Manhattan we inquired if he could spare a few minutes for an interview and he kindly accepted our request. The interview, which was originally intended to be only 15 minutes long, continued for close to an hour. Despite its length we would like to deliver every single word he shared with us about his experience living a life of activism. (Photos of the animals in factory farms from the home page of Farm Sanctuary can be seen here.) CFT: When I visited Farm Sanctuary, I was so impressed by the beauty of those who called farm animals. Our eyes met and it was touching again. Their eyes were shining with curiosity and gentleness. GB (Mr. Baur): To focus beauty…yes happiness, people want to be a part of that. People want to connect with that. I think it makes good sense. When we started farm sanctuaries, going to the farm factories, finding living animals in trash cans, or dead piles and seeing thousands and thousands of animals confined and mistreated, you know, it was very hard. Of course we need to expose that, and we do, but it also helps sometimes to rest on something very positive and very concrete and see animals come out of that horror to live in a peaceful place. It’s good for animals but also very inspiring for people. You know, seeing too much cruelty over and over can be unhealthy. Focusing on beauty, focusing on the positive, focusing on wanting to protect an animal or anything, you have to understand and appreciate and care about whatever that is. Right now most people don’t think very much about farm animals. They don’t think at all about how their food choices affect the animals, planet, and their health in many cases. We want people to think about the animals, their health and the planet and to eat in a way that’s consistent with their own values and interests. Right now people in the United States and in many industrialized countries are buying meat, milk, and eggs that are being produced from animals who are being terribly mistreated in ways that are outside the bounds of acceptable conduct, that are inconsistent with basic human values most people hold. So, they are eating products that are produced in a way that is inconsistent with their own values. They are also eating products that hurt them! I mean that the number one and number two causes of death in the U.S. are heart disease and cancer. The risk of dying of these diseases can be lessened significantly by becoming vegetarian or vegan. So, additionally, people are eating in a way that is inconsistent with their own interests. By eating so many animal products, we are destroying the planet. (* To produce meat products requires 16 times more fossil fuel energy than to produce plant based food. Also the production of the meat products demands such high volume of water that it exhausts the water table.) Obviously that’s also inconsistent with our interests. So we think it is important for people to make mindful choices about their food and eat in a way that is consistent with their own values and own interests. When people start to do that I think we can start seeing the big changes. CFT: Indeed we don’t need a PhD to understand that these situations that animals face are totally wrong. You said in your book something to the effect that simply living is a happy and precious thing to animals, and unfortunately that’s what people have forgotten. GB: I know. We sometimes make everything so complicated. (Laugh) But I think the fundamental human value is kindness, and there are visceral reactions. You don't need to read a book to feel empathy for somebody else, and that’s a big part of it - just basic empathy, basic understanding and being able to feel concern for another. Compassion, feeling for another, is often times restricted to only our concern for those who are within our family, or those are within our country, or town or whatever. But, we need to be compassionate more broadly and recognize how that affects people and animals around the world. Also, we need to recognize how our food choices directly impact the lives of real animals now suffering on factory farms and that it does not have to be that way. People also need to know that they can make choices to live in a way that is healthy and compassionate without making too many difficult changes. Oftentimes people are afraid of change and don't think that they can become vegan (for example). It’s not that hard to go vegan and it becomes easier and easier as time goes. I think one of the big obstacles to change is that people don't believe that they can do it. Also, there is the whole disempowerment predicament that has happened. I believe industries depend on people to be disempowered and not to think and act in a way that is consistent with their own values and interests, but instead is consistent with the short-term interests of certain companies. Those companies want people to continue acting in certain way and believing a certain way - believing that they can’t change, that it’s too hard to change, believing that it’s hard to be healthy and vegan, and believing that animals are only there for us to eat. These are all myths that need to be challenged. CFT: Also, to become vegan people think they need to make sacrifices. GB: Oh, there are so many vegan foods that you can get right now. The idea that you have to sacrifice or to give something up, it needs to be challenged because it’s not true. We don’t give up anything by becoming vegan. In fact, we embrace a whole other way of eating and a whole other way of relating to others that there is a healthier lifestyle - one I think that most people would enjoy and would feel better about. Things are moving in that direction, but way too slowly, and we still have a factory-farming industry that is very influential in legislative policy making and that’s a big problem. So, we have a lot of work to do, but a lot of it has to do with individuals making humane choices. Are there many farm animals raised in Japan? CFT: I believe so, but unlike in the old days we don’t see them around us so we don’t know how they are raised. As well, we don’t hear or see anything in our public media about their issues. And Japan imports a huge amount of animal products. GB: Yes, they are not encouraged to speak out. People are encouraged to behave and to go along with what you're told. CFT: Or we could say it may be our custom. GB: It is also part of our culture to some extent, although we have a history of speaking out in some way, at least nominally. We are supposed to be able to speak out of free speech, but in reality sometimes free speech is not encouraged. Being different and not conforming is discouraged and even penalized in some cases. It’s done in a more subtle way perhaps than Japan, I have never been to Japan so I really don’t know culturally what is like. To challenge the status quo, and to question certain traditions and to question assumptions that have allowed these traditions, needs certain behaviors to persist. You know some of the “traditions” that we’ve had in this country, for example slavery, for a long time was defended on the basis of being a tradition. Likewise, it was said that certain people are here for certain purposes, exactly the same arguments that are used to perpetuate violence and cruelty towards other animals. It is often said that something is for a certain purpose, or, “we’ve been doing this for thousands and thousands of years. It’s tradition, we are supposed to do this.” Just because we have been doing something for thousands and thousands of years does not mean that we need to continue doing it. Just as we learn as time goes on, hopefully we will evolve to behave in a way that is more compassionate and more humane. You know over the course of human history we’ve done many, many very bad things - that does not mean we should continue doing them. We need to learn from these things, and behave in a way that is consistently or continuously improving. We should try at least to aspire to improve our conduct. When it comes to animals, right now factory farms are prevalent. It is as though “bad has become normal” and it is a system that we are trying to change and challenge. CFT: Has there been a film made about Farm Sanctuary? GB: There was a film that came out a while ago called “Peaceable Kingdom”. It was filmed at the farm, but was not focused specifically on Farm Sanctuary. We are always interested in getting the word out, telling animal stories and having people come to visit to get to know the animals and learn about where they came from. We have this one pig named Nikki who came from a factory farm in Iowa. When the floods hit there, a lot of those factory farms were under water. In many cases animals drowned in confining cages, but in some cases animals got out and escaped like Nikki. She was a breeding pig so she should have been kept in a gestation crate. So this was the first time for her to ever run outside. Factory farmers say that these animals don’t know how to raise their young and that they are not very good mothers, so we have to keep them in a crate and we have to control their behavior by taking babies away from them when they are very young. Though, when the floods hit Nikki was pregnant. She gave birth on the levees, raised her young and did very good job of it. We were able to rescue her and her babies and they all came to our farm and continue to live there right now. When you talk to pig farmers they say mother pigs are aggressive, mean animals. I tell this story in my book about one pig farmer who told me about taking babies away from the mother pig and the mother pig came after him very upset about it. He didn’t recognize that his behavior of taking away the babies caused this mother pig to be upset and just assumed that all pigs are mean, aggressive animals. So, these factory farmers don't really even understand the animals… Nikki is in our farm now and we have pictures of her showing shelter workers touching noses with her since Nikki trusts us and she knows that she is in the safe place. She knows that we are not going to take her babies away and have them killed since that is not the kind of thing that happens in the farm sanctuary. Animals are our friends, not food. It is a place for the transformation. Our animals first lived on factory farms, were treated as commodities, as production use, as pieces of meat from the day they are born until the day they are killed. Or else they were used as baby making machines, or milk making machines, or egg making machines. They were not seen as living, feeling creatures. They were given numbers, not names. Once they come to Farm Sanctuary they are given names and are treated as friends, not food. So Farm Sanctuary is the place of transformation for the animals, but also in many cases for people who come and visit and who have never looked into the eyes of a pig or recognized that animals have certain feelings, personalities and individuality. ~This is the story of Nikki and her babies~
2008 Midwest Flood Disaster Pig Rescue
Please click here to go to the interview with Ms. Tricia Barry,
Farm Sanctuary's Communication Director, at FM Radio "Animal Voices". She talks to us about the rescue mission during Midwest flood. If you consider to donate to Farm Sanctuary Emergency Rescue Fund, Please click here. ~ ~ ~ CFT: Each animal’s character was expressed naturally at the farm. It was so much fun to see them. By the way, could you please list some of Farm Sanctuary's achievements? GB: Some of Farm Sanctuary’s achievements include establishing the first farm sanctuary in the United States and playing a significant role urging various other animal groups in the U.S. to focus on farm animals. This really helped to begin the process here. We have been involved with the first laws in our country to prohibit the inhumane treatment of animals. The first one to ban the factory farming confinement system was a law in Florida that we worked to get passed in 2002. To ban the use of veal and gestation crates we took the initiative and passed another significant law in Arizona. That was the first time veal crates had been banned in U.S. Then, most recently, we worked on the initiative in California’s Proposition 2 to ban veal crates, gestation crates and battery cages. This was the first time battery cages have been banned. We’ve also worked on several states’ bills including a ban on marketing slaughtered downed animals in California. We also worked on a federal policy to prevent marketing downed animals. The policy we had enacted resulted in the largest beef recalling in the U.S. history when the slaughterhouse in California was caught violating the law that we have helped to pass. Those are some of our achievements legislatively. We’ve convinced many restaurants not to sell veal or foie gras. We’ve also gotten other restaurants to start selling more vegan food. In these ways I think we educated millions of people about these issues and, as a result, changes now are started to happen, thankfully. CFT: Thank you. That's really incredible work! What does Farm Sanctuary do first when trying to build trust with and aid in the recovery of traumatized farm animals that have just arrived? GB: When animals come to Farm Sanctuary we treat them with respect and try to honor their experiences and their feelings. In some cases that means giving them space and time, and oftentimes it’s the other animals at the farm that help the most with the healing process. For example, a new calf sees other cows doing well and being friendly with people. In turn, seeing this helps the new animals warm up to people. So, we just give them space and treat them with kindness. The other animals at the farm actually do a lot of the healing. Gene and Opie (*) is the explanation and reference by CFT
Special thanks to Mr. Gene Baur, Ms. Natalie Bowman, and Ms. Erin Howard, of Farm Sanctuary for their generous cooperation. Photos with logo: Courtesy of Farm Sanctuary
English Proof-reading / Rewriting translation by Kelly Nixon CFT appreciates the hard work of our dear friend Kelly!
Interviewed by Masami Mizuguchi and Kozue Watanabe / CFT Translated, written and photos without logo by Masami Mizuguchi / CFT
We at CFT are scheduled to make a documentary film about the animals at Farm Sanctuary thanks to Mr. Baur's kind cooperation. We deeply appreciate the support from each of you to make this film happen. The working title of the film is, "So Happy!" which is also one of the sections on this website. Once again, thank you all for your support.
Farm Sanctuary Home Page http://www.farmsanctuary.com Rescue Stories http://www.farmsanctuary.org/rescue/rescues/ Visitor’s Information *New York Shelter - Watkins Glen Tour Times: The New York Shelter is open to visitors from May 1 until October 31 with the following tour schedule: May-September-October Guided tours are held Saturday and Sunday on the hour. The first tour is at 11 a.m. and the last tour is at 3 p.m. June-July-August Guided tours are held Wednesday through Sunday on the hour. The first tour is at 11 a.m. and the last tour is at 3 p.m. Please call 1-607-583-2225 to find details, holidays and group tour (10 people or more). Travel and Directions B&B Info Wedding & Events Events Calendar *California Shelter - Orland Please call 1-607-583-2225 to find details, holidays and group tour. Travel and Directions Country Cabin Wedding & Events Events Calendar Reference Videos: (Please note that the following videos contain images of animal suffering.) Farm Sanctuary: Changing Hearts & Minds About Animals & Food Daring Dash Around Queens Lands Renegade Cow at New York Shelter Vote YES on California Prop 2 - Gene Baur Celebrities speak up for the animals! Gene Baur on Larry King Live, 1991 - part 1 Gene Baur on Larry King Live, 1991 - part 2 Lancaster Stockyards: Then and Now Life Behind Bars by Mary Tyler Moor Investigate & Explore two very different world through Farm Sanctuary's Virtual Experience See for Yourself - one of the largest egg laying operations in California The Foie Gras Assembly Line ....Please sign the petitions at CFT's Courage. |